kome_niku_sio's blog

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蜜蜂と遠雷エピソードオブ栄伝亜夜-原作&映画の感想-

1 蜜蜂と遠雷とは

 恩田陸の長編小説。直木賞本屋大賞を受賞している名作である。ピアノコンクールを題材とした作品であり、4人の主要キャラを軸として様々なキャラクターの様が描かれる。

蜜蜂と遠雷

蜜蜂と遠雷

 普段本をあまり読まない僕がなぜこの本を手に取ったかというと、釘宮理恵さんがラジオでこの小説の名前を出したことがきっかけである。



これ以降の文章は
ネタバレ注意!








2 小説の感想

 「世界的な有名なコンクールにある天才が現れる。その天才は、誰もに尊敬された有名な音楽家の、生涯でたった一人の弟子であった。その天才がピアノ界にもたらすのは不幸なのか、それとも幸福なのか。」
 小説版において与えられている前提は、僕が書いた文章なので多少の齟齬はあるが、このようなものである。ここで呼ぶ天才とは「風間塵」という少年のことである。
 この小説の面白いところは、次々に視点が変化していく点である。ピアノコンクールには様々な登場人物が存在する。競技者はもちろん、例えば審査員であったり、例えば観客であったり、例えばピアノ調律師であったりである。この小説においてはそのようなあらゆる視点からピアノコンクールを描く。素晴らしいのは、物語がほとんど後進しないところである。視点はコロコロと変化しながら、しかし物語は確実に、ゆるやかに進んでいくのだ。ピアノコンクールは順位を決められるために定められた手順によって行われるものであり、最後には必ず結果が待っている。終わりが待っているのである。読者はこの終わりを明示的に示されながら、様々な観点から非常に丁寧に描かれるピアノコンクールの様子を緊張しながら見守ることになるのだ。
 僕には音楽の知識が全くないので専門的な話はできないのだか、この作品は音楽の描写も見事である。特に、主要人物の一人である「マサル・カルロス・レヴィ・アナトール」がある曲を弾き上げる様を描くシーンは興奮なくしては読むことができない。
 「マサルカルロスレヴィアナトール」という名前は非常に素晴らしい。呪文のようでクセになる。それでいて強そうな名前である。是非声に出して読んで欲しい。はい、「マサル・カルロス・レヴィ・アナトール」

3 映画版の感想

エピソードオブ英伝亜夜。
 英伝亜夜とは主要キャラクター4人のうちの一人である。消えた天才少女と呼ばれており、ある出来事をきっかけにずっとピアノを弾かずに過ごしていた。演者は松岡茉優さんである。かわいい。浮世離れした要素を持つ英伝亜夜の表情をうまく表現できていたのではないかと思う。
 小説版は2時間に収めるにはあまりにも多すぎる量であるため、この劇場版では特に「英伝亜夜」に絞って描かれていたように感じた。序盤は視点の変化の面白さも描かれていて小説版の要素をうまく持ってきているなという感想を抱いた。が、後半はこんなシーンあったっけと思うことも多く、僕は本当に「蜜蜂と遠雷」を見に来たのか?という思考がよぎりもした。しかし、やはり英伝亜夜の本選のステージは素晴らしく、明確に「蜜蜂と遠雷」であった。知ったようなことを言ったが、「蜜蜂と遠雷」というタイトルの詳細な意味は把握していない。
 劇場といえば当然劇場で聞く音楽が醍醐味である。ピアノコンクールというものがそういうものなのかどうかは分からないが、激しい曲も多く、素人の僕が聞いても楽しいものが多かった。
 小説版との齟齬はやはり多く、2人のキャラが合体した新キャラが生まれていたり、そもそもいないことにされたキャラクターがいたり、大胆な省略が行われたいたり、といった様子であった。
 ただ、ジェニファ・チャンは大活躍していた。僕が大好きなキャラである。いつも通り、僕が好きなキャラクターの典型例女である。

4 おわりに

 小説版を読んでいない人間は映画を見ても理解できないのでは?と思い一緒に見に行った母親に感想を尋ねたところ「英伝亜夜ちゃんが履いてたやつみたいな靴が以前欲しかったけどどこにも売ってなかったんだよねぇ」とのことであった。