アサルトリリィBOUQUET#9 一柳結梨はリリィになれたのか？
なれなかったんだと思います。
以下、論拠です。そしてそこから生まれる主張です。
この記事は絶望を深めるためでなく、希望を得るために書きます。
リリィは海上で戦闘しない
リリィは海上戦闘の手段を持ちません。海上戦闘に対する発想すら持ちません。これは百合ヶ丘という世界最高レベルの戦力が集う場所のすぐそばの海上にあるヒュージネストが未だ手付かずであることからも明らかです。9話においても、歴戦のリリィである梅様をしても海上を縮地で走ることは「やったことがない」ことだとされています。
そもそもアサルトリリィにおいて海上というのはヒュージの領域です。つまり、ヒュージとリリィの物理的な境界は海岸線を以って線引きされているということです。これはヒュージから生まれて人になった一柳結梨が海から砂浜に流れ着いたことにも通じる概念です。
9話に話を戻します。一柳結梨はリリィなら超えられないはずの境界線を極めてあっさりと超えてしまいました。結果としてリリィは誰も追うことができず、唯一無謀にも向かった梨璃も弾き飛ばされてしまいます。そして、結梨も帰ってくることはできませんでした。
一柳結梨はヒュージの敵ではなかった
リリィであるための条件として、「人であること」「マギ(CHARM)を扱う者であること」、そして「ヒュージの敵であること」が存在します。一柳結梨はこの3つ目の条件を満たせなかったためにリリィになることができなかったのだと思います。
肝心の部分を語る前に前提について確認します。「リリィはヒュージの敵である」という前提です。
9話のローエングリン3人娘の会話を振り返ります。このシーンはここまでほとんどキャラクター付けがされてこなかった3人の会話であることから、百合ヶ丘ひいては全世界のリリィの一般的な思考として描かれていると考えられます。立原紗癒の「人とリリィ、リリィとリリィの戦いになりかねませんよ。」という言葉に対して、「ならないよ。私たちはリリィ。敵はヒュージだけ。」と妹島広夢が答えます。そして結梨が人かヒュージかを多数決によって決定することで行動の選択へとつなげています。人であれば味方、ヒュージであれば敵だということが前提として当たり前に共有されているんです。
さらに遡ります。第一話冒頭の一柳梨璃の独白です。ここで梨璃は「リリィっていうのは人類の敵『ヒュージ』に対抗するため残された最後の希望」だと述べています。その時点では(CHARMを扱えなかったため)リリィではなかった梨璃ですら、ヒュージが人類の敵だと認識しています。
9話に戻りましょう。マギを扱うヒュージと相対した結梨は梨璃に対して「あのヒュージやっつける？」と問いかけます。この問いはあってはならない問いです。なぜならヒュージは前提としてリリィの敵であり、リリィであるならば倒すか倒さないかを問う必要性は全く存在しないからです。
ですが、この問いは結梨にとっては必要な問いでした。この問答があるために結梨は一時的にヒュージの敵として存在できます。つまり、一時的にリリィになれているということです。なので戦闘中の「百合ヶ丘のリリィだもん！」という結梨の主張はこの戦闘中のみ成立しています。
そして結梨は指定のヒュージを倒した瞬間にまたヒュージの敵ではない状態に戻ってしまい、リリィではなくなってしまいます。だからこそリリィとしての証左であるマギクリスタルコアは壊れ、CHARM自体も結梨の手から離れることになったのです。そして結梨自身も境界線のこちら側に帰ってくることはできませんでした。
なぜ誰も「一柳結梨がヒュージの敵でないこと」に気付けなかったのかというと、それが本当に人類誰もが共通して持っている前提だったためです。ヒュージは現れてから50年経っていて、ヒュージを敵として認識しない人間は一人も存在しません。ですが一柳結梨は人類に対する帰属意識が薄かったためにこの前提が欠如していました。
以上のことから生まれる主張
一柳結梨は
生きています！！！！！！！！
帰って来れなくなった理由を説明したことで、帰ってくるために必要なものが明らかになりました。一柳結梨はリリィになることでこちら側に戻ってくることができます。これは希望です。
どうやってリリィになるか...？それは知らん！！！あとはアニメに任せる！！！！俺は信じるし祈る！！！！！キャラクターの生存を！！！！！！！
[2020/12/30追記]
放送終了後にこの記事の続きを書きました。
kome-niku-sio.hatenablog.com
よければどうぞ。
