kome_niku_sio's blog

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アサルトリリィBOUQUET (続)一柳結梨はリリィになれたのか?

なれていました。
ごめんなさい。

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前記事
kome-niku-sio.hatenablog.com
 前記事で述べたことは、論拠は間違っていなかったと思うのですがピースが欠けていていました。結論については全く間違っていました。前記事を書いた時は僕自身が一柳結梨の死を受け止めることが全くできていなくて、彼女をなんとか守れないかと苦しみの上に書いた記事でした。ただリリィたちは僕の想像の何倍も強く気高く、僕もそれを見てようやく死を受け止められる気がしたので、今回の記事を書かせていただきます。

 この記事は、前記事を踏まえた上で、間違っていた部分、さらに理解が進んだ部分を書きます。よろしくお願いします。

海岸線がヒュージとリリィを区切る境界線である

 正確には「であった」ですね。一柳結梨によってこの境界線は破壊されます。ただこれは彼女がリリィになるためには間違いなく必要な行為でした。海から生まれた彼女は、この境界線を破壊することでしかリリィにはなりえませんでした。

 9話で境界線が破壊されてしまったことにより、リリィとヒュージの境はどんどん曖昧になっていきます。10話ではリリィ全員の力で海岸線を越え、12話ではヒュージがノインヴェルト戦術に関与するまでになってきます。

 アルトラ級ヒュージを倒すため海底に行く夢結と梨璃は完全に境界を越えてしまっていて、「リリィとヒュージを分かつものは何か」という問いが剥き出しになってしまいます。

 結果として、夢結と梨璃は海岸線のこちら側に戻ってくることができました。彼女たちは問いに打ち勝ち、リリィであり続けることができました。

一柳結梨はヒュージの敵ではない

 これは今でも間違いなかったと考えています。遺伝子情報がどうであろうと、彼女がヒュージから生まれたという事実は変わりません。これは事実としてのみでなく、一柳結梨本人の認識としてもそうなっています。一柳結梨は自身を「ヒュージでもリリィでもない存在として生まれた」として認識しています。本質的に孤独を感じているということです。だから彼女はヒュージを本能的には敵とみなすことができません。彼女にとってマギを操るヒュージを倒すことは「ヒュージだったかもしれない自分」を引き裂いてしまうことであり、自分という存在への否定になってしまいます。

 ただ、それでも彼女はリリィになりたかった。だからこそあそこで爆発に巻き込まれるんです。自身の半分を否定してでも、リリィになるためにチャームを振るうのです。結果としてそれが自分を滅ぼす選択であることを理解しながらも、リリィとして死ぬ選択をしたのです。

 前記事においては「ヒュージを倒した瞬間にヒュージの敵でなくなり同時にリリィでなくなる。そして戻って来れなくなる。」という話をしていましたが、これは順序が間違っていました。彼女はリリィとして死に、その結果としてリリィでなくなるのです。死によってリリィでなくなるという現象は彼女だけにではなく、全てのリリィに対して発生します。だからリリィの死とチャームを手放すということが同時に語られるんです。そして、だからこそ、死ぬ直前にリリィだった一柳結梨の生は、間違いなくリリィとしての生になるんです。

一柳結梨としての戦い

 死によって彼女はリリィでもヒュージでもない存在に戻りました。12話の名前表示になんの称号も与えられていないことがその証拠です。その彼女には何が残されていたでしょうか。そう、名前です。一柳梨璃が名付け、一柳隊、そして百合ヶ丘のリリィ全員が認めた「一柳結梨」という名前が、彼女の孤独を癒すのです。

 梨璃と夢結はアルトラ級ヒュージに挑み、結果として結梨がいるリリィとヒュージの境界線まで来てしまいました。そこで彼女は梨璃と夢結をみんなのいる場所まで送り返します。これは彼女の戦いです。一柳結梨が何よりも憧れた「リリィ」を守るための戦いなんです。リリィとヒュージを真に分かつものは何か、それを誰よりも知っている彼女だからできる戦いです。

何がリリィとヒュージを分かつのか

 正確な境界線は存在しないんだと思います。ただ、だからこそ、彼女たちはリリィであり続けようとするんだと思います。身嗜みをととのえ、ヒュージと戦う。そして他のリリィを愛し、他のリリィから愛されようとする。彼女たちがリリィであり続けようとする意志こそが、その営みこそが、自身と自身以外のものを憎む存在つまりヒュージになることを防ぎ、彼女たちをリリィたらしめるんだと思います。

 そしてそのことを踏まえると、誰よりもリリィであろうとした一柳結梨は同時に誰よりもリリィであったと言えるんだと思います。

おわりに

 ずいぶん遠回りをしてしまった気がします。でもアサルトリリィBOUQUETが遠回りをしてしまう僕のような人間に優しいアニメであったことを非常に嬉しく思います。ここまで読んでいただきありがとうございました。