アニメ視聴における作品に対するハードル設定【アニメを面白く見るために】
はじめに
アニメは面白い。
だが、全ての作品が歴史に名を残すほどの名作になるわけではない。そこで今回は、完璧ではないアニメを面白く見るための一つの考え方について述べる。それが「ハードル設定」である。
ハードル設定とは
アニメに対して、越えるべき、越えられるであろうハードルを適切に設定することである。このアニメはここはダメだけれど別のところでは素晴らしいからそこに期待しよう、というような具合で、見るポイントを絞るのだ。そうすることによって、アニメの優れた部分だけを楽しむことができる。結果的に、楽しいアニメ視聴が可能になるのだ。
具体例を用いた説明
RELEASE THE SPICE
通称リリスパ。街を守る「ツキカゲ」として活躍する少女たちの物語である。キービジュを見てわかる通り、この作品の強みは「女の子の可愛さ」である。「ゆるゆり」などで知られるなもり氏をキャラクター原案に起用しており、ツキカゲ6人+αが可愛く描かれている。一方で、この作品の弱みは、「格好よさ」である。これは可愛さと対になる概念だとも言えるので、多少仕方ない面もあるが、アクションおよび物語の展開においてクールさが欠如している部分が多いのである。
ここまでの見立ては、個人差はあるもののおそらく数話見たら立てられるだろう。人によってはOPだけで判断する人もいるだろう。そこでこの作品に対するハードル設定は、「可愛い女の子が街をなんとなく守る」ということになってくるのである。ここで越えるべきハードルは「街を守る」ということと、「女の子が可愛い」ということである。一見簡単に越えられるハードルに見えるのが、そうではない。シリアスに見せつつもキャラは絶対に死んではならないし、最終的な目的は絶対に拡大せず「街を守る」に終止しなくてはならない。
ここからはネタバレになるのだが、リリスパはこのハードルを無事飛び越えた。それだけではなく、意外に格好いいアクションも見ることができたし、彼女たちの精神性の美しさ、格好よさも見ることができた。
いいアニメだったなぁ。
キャロル&チューズデイ
ハードルが無限に高まり続ける作品が存在する。それがこの「キャロル&チューズデイ」である。全24話、ほぼ毎回の冒頭で「奇跡の7分間」について語られる。この「奇跡の7分間」は、物語の一番最後に起きる出来事なのは明らかであり、再三繰り返しているため期待がどんどん高まるのである。それだけではない。この作品は14~23話まではそれほど面白くはないのである。物語の動きはあまり激しくはなく、出てくる新キャラクターたちもいまいちぱっとしない。これはもう「奇跡の7分間」がつまんなかったらおもんなアニメになっちゃうぞ。中途半端なやつじゃ許さねぇからな。という心理でハードルはどんどん高まっていく。
この作品が圧倒的に素晴らしいのは、「奇跡の7分間」によってこのハードルを越えるばかりか一気に個人的ベストアニメになろうかという感動を与えてきたことである。
いいアニメだったなぁ。
おわりに
このアニメの見方はどちらかというとつまらない寄りのアニメを面白く見る手法ですが、後者のようにハードル思考を消し去ってぶん殴ってくる時の感動を味わうこともできる良い手法です。アニメを面白く見るための一助になればと思います。
ところで、ごく稀に「適切なハードル設定をしたはずなのに、それすら越えれないアニメ」、「そもそもハードルなんか越えるつもりがないアニメ」が存在します。
そんなアニメはゴミ。
twitterに一通り悪口を書いた後、ツイートを消しながら記憶からも消し去ってしまいましょう。